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 神山さん,ISM研究会の皆さん,今井です。
 神山さん,お忙しい中での投稿,どうもありがとうございます。俺もちょっ
と忙しいので,簡単なコメントで失礼します。

>今井さんの「人格の物象化と物象の人格化」と言う図
>式は、私の考えるところとは随分違うということがわかりました。

 正におっしゃる通りだと思います。俺も当初は“恐らく神山さんの理論も俺
の理論と大体,同じなのだろう”と思い込んでしまっていたのです。

>今井さんは、これには不満で、かなり
>これとは異なる図式、をとられているようで、存在論、労働論、商品論、
>商品と資本論、関係論、法的人格論、労働過程論、解放論、など、かなり
>違いがあります。

 これもまた,おっしゃる通りだと思います。当初は俺はこの点に全く気付か
なかったのです。

>これも、私が、舌足らずに、展開しないで、まあ理解し
>てくれるだろうと、書き散らしたのが混乱のもとでした。

 俺の方でも,“まぁ,神山さんも俺と同じような図式をもっているのだろ
う”と勝手に想像して,必要な説明を適当に省略してしまっていたために,
議論がかなり錯綜したのだと思います。
 ややこしいことに,恐らく全体を通じての問題意識──現代マルクス経済学
に対する批判,認識主義批判,発生的関連,資本の自己矛盾,変革主体形成な
ど──は殆ど同じだと思うのです(ここで違っていたら,空中戦を二,三回や
って,議論が終わっていたのだと思います)。但し,神山さんがおっしゃる通
り,理論の細部においては随分と違うわけですよね。マクロの問題意識が同じ
である分,理論の細部でも同じだろうと俺は思い込んでしまっていたのです。
それで,俺も「舌足らず」になってしまっているのです。特に当初の俺の投稿
を読み直してみると,これは鮮明です(もちろん,最近の投稿でも説明不足な
部分は多いでしょうが)。この段階で対立点を俺がもっと明確にしておけばよ
かったのですが,まぁ,能力不足でした。

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 この人格論チェーンをお読みの皆さんへ。かなり専門的なところで議論が続
けられていますので,読んでいて苦痛に感じることもあるでしょう。ですが,
俺の理論は殆ど珍説に近いということを俺は自覚していますし,また神山さん
の議論もかなり独自的だと俺は思っています。こういう議論は学会なんかでは
繰り広げられませんよ。読んでおかないと損ですよ。
 それに,俺も神山さんも,人格の問題を語っているのは,それが現代的社会
の変革主体の形成という大問題とダイレクトに繋がっているからなのです。理
論的には随分と違いますが,この点では,なんの疑いもなく,俺と神山さんと
は問題意識を共有しています。趣味の問題でもヒマジンのたわごとでもなく,
人格論は実に実践的な議論です。読んでおかないと損ですよ。