メーリングリストとは,要するに,同じ文面のメールを特定のメンバーに配る仕組みのことです。
手紙の例で考えてみましょう。黒ヤギさんが白ヤギさん,赤ヤギさん,青ヤギさんに同じ文面の手紙を送りたいとします。この場合には,黒ヤギさんは同じ文面の手紙を三通書いて,封筒も三つ用意して,三つの宛先にこれを送らなければなりませんね。ここで,便利な配達業者が登場します。黒ヤギさんがこの配達業者宛に手紙を出せば,この配達業者が文面をコピーして,封筒も三つ用意して,白ヤギさん宛,赤ヤギさん宛,青ヤギさん宛に──そしてご丁寧なことに黒ヤギさん宛にも──それぞれ郵送してくれるわけです。
黒ヤギさんが発した同じ一つのメッセージを,白ヤギさん,赤ヤギさん,青ヤギさんが受け取ることができ,またこのメッセージに対して,白ヤギさんも赤ヤギさんも青ヤギさんも,例えば"昨日は雨でしたよ"と今すぐにでも,あるいはもっと後にでも,答えることができます。そうすると,黒ヤギさん,白ヤギさん,赤ヤギさん,青ヤギさんは,手紙を通じて,会議をやっているようなことになります。しかも,便利なことに,この会議は時間的にも空間的にも制約されていません。つまり,同じ場所に,同じ時刻に集まらなくても,会議をすることができるわけです。
こういうことを,メーリングリストは,手紙を通じてではなく,e-mailを通じて,可能にするわけです。従って,メーリングリストは,主催者,参加者,サービス提供業者──手紙の例では配達業者に相当する──から構成されます。
けれども,郵便の場合には,こんなまどろっこしいことやっていられませんね。いまが02月の15日であるとしましょう。気象庁発表のデータでは,15日が晴れ,16日が雨,17日が雪だとしましょう。──さて,15日の15:00に黒ヤギさんが“本日は晴天なり”と書いたところで,それが皆さんの手許に届くのは16日の昼間でしょう。16日は雨なのですから,なにが“本日”なのか,バカらしくなってきます。その時運よく白ヤギさんが自宅にいて,それへの返事を書くとしても,黒ヤギさんが言っている“本日”とは要するに白ヤギさんにとっては昨日のことですから,白ヤギさんは“いや,本日は雨なんですが……”ということになります。それからすかさず白ヤギさんがこの返事を投函しても,それが皆さんの手許に届くのは17日ですから,届いたときにはもう雪になっており,みんなしらけてしまいます。こんな“会議”,馬鹿馬鹿しくてやっていられません。
ところが,e-mailを使うと瞬時にこのような会議をすることができるのです。もちろん,黒ヤギさんは好きな時に発言していいし,白ヤギさんも好きな時に返事をしていいのですが,ひとたび発言したり返事をしたりするやいなや,瞬時に皆さんのところにその発言・返事が届くのです。
しかも,郵便には随分とランニングコストがかかります。一通,国内に郵便を届けるのに,葉書で50円,封書で80円もかかります。結局のところ,配送業者はコピーしようと,結局のところ,4通の郵便が必要になるわけで,葉書で考えても全部で200円もかかります。
ところが,e-mailを使うと殆どゼロ円でこのような会議をすることができるのです。黒ヤギさんが4通のメールを送信するのに要する時間は(いろんな条件によって変わりますが)1秒程度でしょう(1通のメールを送信しても1000通のメールを送信しても送信時間は変わりません)。市内通話料金3分10円で考えてみても,黒ヤギさんが4通のe-mailを送るのに必要なお金は1通当たり約0.014円です。もし会議の参加者が1000人であるならば,1通当たり0.000056円です。
ISM研究会の会員は全国に散らばっています。また,会員の時間的な都合からなかなか同じ時間に集まることができません。そこで,ISM研究会はメーリングリストを開催しています。
ISMメーリングリストでは,主催者は ISM研究会,参加者は(差し当たって)ISM研究会会員の中でアドレスを持っている者,サービス提供業者はニフティ株式会社です。同社とメーリングリスト契約を結んでいるのは管理人であり,従って同社に支払うべきサービス料金についても管理人が代理支払をしますです。
このように,組織から見ると,(1)主催者であるISM研究会とサービス提供業者であるニフティ株式会社とは全く別組織です。しかも(2)ニフティ株式会社が対人的に権利行使することができるのはISM研究会に対してではなく,契約者(ISMメーリングリストの管理人)に対してだけです。従って,一応,ISMメーリングリストはISM研究会の管轄の下に行われ,ISMメーリングリストについてはISM研究会が私的自治を行使することができると言えます。以上の点から見ると,ISMメーリングリストは,密室での会議,あるいは通信の秘匿が憲法的に保証された封書のやり取りと類似しています。
けれども,情報の流れから見ると,(1)ISMメーリングリストに投稿された総てのメールは──投稿者がニフティ株式会社からメールアドレスを取得していようといまいと──必ずやニフティ株式会社のメーリングリストサーバを通過します。しかも,(2)ニフティ株式会社と契約者との契約において,ISMメーリングリストに投稿された総てのメール──その投稿者のメールアドレスがニフティから取得されたモノであろうとあるまいと──について,ニフティ株式会社は検閲権を留保しています。以上の点から見ると,ISMメーリングリストは公開の場での会議に類似しています。
ニフティ株式会社と契約者(ISMメーリングリストの管理人)との間で締結されたメーリングリスト利用規約については, ニフティのサイトの規約ページ をご覧ください。なお,契約の一方の当事者であるニフティにとっては,契約者(ISMメーリングリストの管理人)は──ISMメーリングリストの主催者であろうとあるまいと──“管理者”として現れ,従ってまたニフティ株式会社は契約者(ISMメーリングリストの管理人)に対して管理義務を課しています。
差し当たって,(1)或る特定の課題について共同研究するism-studyと,そして,(2)世間話,無駄話,連絡など,それ以外の話題を取り扱うism-topicsと,二つのメーリングリストが,ISMメーリングリストには含まれています。
このメーリングリストに参加するためには,登録作業というものが必要です。メールアドレスをもっているISM研究会会員の方でまだISMメーリングリストに参加していない方がいらっしゃるならば, ISMメーリングリストの管理人 のところにまでご連絡ください。直ちにあなたのメールアドレスを登録いたします。そうすれば,あなたのメールアドレス宛にISMメーリングリストへの投稿が送信されてくるようになります。
なお,2001年10月30日を以て,ISMメーリングリストの会費は無料になりました。