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 神山です。皆さん今日は。

>それに神山さんの次
> の発言,──
> 
> >給料は、月に2回現金
> >で支給され
> 
> 雇用主側が望んでいるのか,従業員側が望んでいるのか,両者が望んでいるの
> か,俺には解りません[*1]が,これはちょっとなんですね。
> 
> [*1]現金支払は通常は従業員側が望むものです(裁判で
> も原告は従業員側です)。それだけ現金保有コストが減
> るわけですから……。
>  でも,神山さんが述べているような江戸時代的マイン
> ドがあるならば,雇用主側が望んでいても不思議はあり
> ません。雇用主側の考え:ホステスは金遣いが荒いに決
> まっている。現金で支給すれば,ますます金遣いが粗く
> なる。これだけでも,このホステスという社会的に決し
> て評価が高くない仕事にこいつらを繋ぎ止めておくのに
> 十分だ(個別的資本の労働者窮乏化政策)。

 私のフィールドワーク以外に、文献に頼って補足しますと、キャバクラ
[*1]の場合、ホステスの在籍期間が3〜6ヶ月と短いので銀行振込にする
と、店を統括する本部の手間がかかるため、現金支払が原則である、とい
う。ホステスは、昼間寝ているので、手にした現金を銀行に振込むことが
できない。結果、すぐに使ってしまうことになる、らしい[*2]。しかし
、店にとって、現金の管理はかなり危険で面倒ではないでしょうか。
 ちなみに、風俗業は、現金その日払いがメインらしいです[*3]。これ
は分るような気がします。

[*1]「キャバクラ」とは、地域や人によって定義も異なっ
てますが、キャバレーの大衆性と、クラブの高級感とをマッ
チした、飲屋さんです。ホステスがスーツで接客する正統派
(たぶんニュークラブとか、ラウンジ系とか呼ばれるもの)、
ランジェリー姿のランパブ系、ナースパブのようなコスチュ
ーム系、御触りありのエクストリーム系に分けられます。
[*2]山本信幸『「キャバクラ」の経済学』オーエス出版社、
1999年、205頁。
[*3]風俗求人誌『ビスチェ・ラヴィ』(大学の近くのコンビ
ニで買った。見た目はグルメ、ファッション情報誌)の、求人
欄から引用しますと、「日給35000円以上完全全額日払い」「託
児所応相談」「アリバイ会社無料登録」などとあります。
 風俗店は、従業員用のアリバイ対策をしており、風俗嬢が、
家族や恋人にどういう嘘をついているかのリストや、アリバイ
用別回線は必須である。系列金融業社などがアリバイ会社とな
って、風俗嬢にOLとしての顔を与えたりするらしい(松沢
呉一『風俗バンザイ』創出版、1998年、95頁以下)。俺は自分
の彼女が風俗嬢になったら喜んでひもになります(大悪人!)。

>挙げ句の果
> てには給料前払さえ求めてくる。借金のカタにせっせと
> 働かんかい,われぇ〜。お前ら債務奴隷やんけ〜。年季
> 奉公や,年季奉公や。

 歌舞伎町で、ホストが、女子高生に貢がせて、借金地獄に落し、風俗店
に売飛ばした、話がありましたっけ。
 店が従業員に貸すといえば、寮とか、バンス制度でしょうか。バンスと
いうのは、クラブのホステスさんが店を移るときに、前の店の借金を清算
するために、新雇用者が給料の何分の一かを貸す制度で、銀座のクラブの
場合、客のつけが、不良債権化した場合、担当ホステスは巨額の借金を店
に対して負うことになり、こういう制度があるらしいです。中小企業が倒
産すれば、銀座のホステスさんの一部が、吉原に「風呂を浴びに行く」こ
とになるわけです[*4]。やっぱり経済学は面白いですね。

[*4]浅野恭平「“高級コールガール”たちの幻魔対戦!」
別冊宝島編集部編『ザ・風俗嬢』宝島社文庫、1999年。

>  いや,ススキノのポン引きには度肝を抜かれました。あの堂々とした態度。
> 歌舞伎町では,もうちょっとこそこそやっています。それなのに彼らは大通り
> で公然とポン引きしているんですから。無法地帯だと思いました。

 職業社会学的に補足しますと、ススキノで客を引く人にも何通りかあり
ます。1)キャバクラの従業員(ホステス、黒服)によるチラシ配り、2)
風俗店の営業マン(ネクタイを締めている)、3)看板持ち(年配者)、4
)茶髪で、ズボンを垂らしているか、ジャージ姿の若者(すべてが悪質店
に連れて行くわけではない)。
 個人的な感想ですが、歌舞伎町のポン引きのほうが非公然度が高く、危
険です。 
>  売春業を一生の職業として考えると,社会政策上,いろいろと問題が出てき
> て,オランダでは売春が完全に合法化・自由化されたのは,ご承知のとおりで
> す。長期的に売春の撲滅を目指すのと,短期的に売春労働者の社会的権利を確
> 保するのとを両立させるのに,どこの国でも困っていますね。

 労働者としての権利の深化の必要と、社会的承認性とが分離してますしね。

 まあ、ススキノは、
>われわれは,四本の足の内の一つが常に空中に浮いている,遊び心一杯の椅
>子に腰掛けた。
[topics133]
とありますように、ノーパンしゃぶしゃぶ接待事件がおきれば、しゃぶし
ゃぶ店に通ったというスマップのリーダーの名前を取って「中井DEしゃ
ぶしゃぶ」という店ができ、山一が廃業すれば、ピンキャバ「山一」がで
き、拓銀が破綻すればサロン「拓銀」が開店するというように、遊び心に
あふれた街です。
 ぜひ一度いらしてください。
 中村さん!(>[140])